ノーリフトケアを学ぶ

看護・介護現場を取り巻く状況

日本における腰痛の現状

日本では、介護職員の腰痛問題が長年にわたり深刻な社会問題となっています。
多くの介護職員が重労働による腰痛で職場を離れざるを得ない状況が発生しており、これが介護職員不足を一層悪化させています。
・抱きかかえの方が心がこもっている
・技術があれば抱きかかえでも腰痛は起こらない
・腰痛になるのは本人の不注意
・「安全」とは利用者(被介護者)のための言葉だった
・自己犠牲が美徳とされていた

製造業をはじめ他の業界は、さまざまな取り組みにより業務上腰痛件数が減少しているにも関わらず、保健・衛生業だけが増加傾向にあるのが実態です。腰痛が原因で離職を余儀なくされるケースもあり、介護職の人材確保という面からも対応が急がれます。

厚生労働省の第14次労働災害防止計画

厚生労働省は、第14次労働災害防止計画において、ノーリフトケアの導入を推進しており、
・介護・看護作業において、ノーリフトケアを導入している事業場の割合を、2023年と比較して2027年までに増加させる
・社会福祉施設における腰痛の死傷年千人率を、2022年と比較して2027年までに減少させる
などといった具体的な目標として設定しています。この政策は、介護現場の作業環境を改善し、職員の健康保護を図るための重要なステップです。
第14次労働災害防止計画の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001287207.pdf

家族介護者の増加とビジネスケアラーの役割

2030年には家族介護者が833万人に達すると予測されており、そのうち約40%がビジネスケアラー(仕事と介護を両立させる人々)によって占められると見込まれています。この増加は、社会全体にとって重要な問題であり、家庭内での介護負担の軽減も求められます。ノーリフトケアの技術や理念を家庭にも導入することで、家族介護者の負担を軽減し、より安全で効率的な介護を提供できるようになることが期待されます。
新しい健康社会の実現(経済産業省)より
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/013_03_00.pdf
ノーリフトケアの導入は、日本の介護現場における労働条件の改善、職員および家族介護者の健康保護、そして効率的な介護の提供という複数の課題に対する一つの解決策となり得ます。これらの対策を通じて、介護職の持続可能性と質の向上を目指すことが、今後の大きな挑戦となるでしょう。
お問い合わせについてはこちら お問い合わせ
ノーリフトケアを学ぶ Pages